風そよぎ、水は流れる

思う事ありて言葉にし、未来へ
令和元年最初の選挙について思うこと

ずいぶん久しぶりのブログだが、今回の参議院選挙で感じたことを書きたくなり、キーボードを叩いている。

 

令和元年最初の選挙。この選挙は、どこか1989年に私が関わった「脱原発市民選挙」に通じる熱いものを感じた。

その選挙は、当時、神田神保町で企画制作事務所をやっていた私のところに、突然、歌手の山本コータロー氏や、らでぃっしゅぼーやを設立した高見裕一氏と徳江倫明氏、大阪で消費者運動から自然食の流通を切り開いた西川榮郎氏、そしてリサイクルプロデューサーとして現在のリサイクルシステムを先駆けた小泉辰一氏など、そうそうたるメンンバーが訪れ、原発を止めるための選挙をやりたいので、力を貸して欲しいと持ちかけられ、若輩ながら私が事務局を引き受けた選挙だった。

 

当初、原発を止めたいという思いを持つ人たちが集結し、一つの政党を作り、比例区に10人を擁立する予定で、多様な人たちが集まり会議を繰り返した。消費者運動、有機農業、自然食流通、環境運動、フェミニズム運動、動物保護運動、そして反原発運動などの市民運動家たちが集い、参議院に市民の声を届けようと、熱い思いが交わされたのだ。

 

しかし、選挙が近づき、話し合いも終盤になると、誰を1位に指名するかという問題で、もめはじめた。というのも、当時の参議院比例区選挙は、順位指名制で10人の候補者全員に順番をつけなくてはならないシステムだったため、上位指名の候補者が当選に有利なのは言うまでもなく、誰が1位になるかが政党の方向性をも決めかねないからだ。

 

ちなみに、参院選比例区ではその後順位指名制が廃止され、また今年から特別枠制が導入されるなど、政権の思惑で選挙制度がコロコロ変化することにも大きな疑問を感じるが、順位指名制であった当時はこれが大きな踏み絵となり、集まった運動家たちの思惑がぶつかった。

 

自分を1位にすべき、有名人を1位にすべき、話題性のある人を1位にすべき、能力のある人を1位にすべき、女性を1位にすべき、くじで決めるべき、など収拾はつかず、最後には「ヘルメットの色が違うヤツとは組めない」と、過去の学生運動の恨み節まで出るしまつ。私は毎回話し合いに参加し、最後には日本の市民運動の限界を感じ、「ひとつになるのは無理」との残念な結論に至ったことを思い出した。多様性を重んじ、戦略的に必要な選択を行えるしなやかさを持てない限り、市民運動は多数決をベースとする民主主義政治からは程遠い。

 

それは、既存の政党でも感じることだ。今回、地方一人区では、やっと野党共闘となったが、それでも根本的に協力できない壁が各政党間にはあり、政党を応援する有権者間にもある。一方、自民党を見ると、自分の意見を下げてでも大樹に寄り添いたいという政治屋の多い事。それはそれで問題があるが、どうすれば多数決を超える本当の意味での民主制度が導けるのかが、選挙という制度全体に問われているように思う。

 

さて、1989年の選挙では、結果として山本コータロー率いる「地球クラブ」と、反原発運動率いる「原発いらない人々」、そして唯一合流した消費者農業運動と環境動物愛護運動の「みどりといのちのネットワーク」の3党に分かれ、それぞれの候補者を立てた。結果として、誰一人当選しなかったが、その3党を合わせると得票数約60万票を超え、当時の選挙では一人の当選が可能であったことも、残念としか言えなかった。

 

そして今回、私は地元岩手で横沢高徳氏、比例では山本太郎氏を応援した。ご存知の通り、横沢氏は当選したが、山本氏までの当選はかなわなかった。しかし、令和新選組から二人の重度障害者が特別枠で当選したことに、私自身が抱えていた過去の選挙での苦々しい思いを晴らした気がしたのである。

 

それは、山本太郎氏の選択に、エゴを超えて何を大切にしたいかが明確に現れていたからだ。1人しか当選しないかもしれない選挙なのに、彼は特別枠で2人の立候補者を1、2位に指名したのだ。この決断によって1989年の選挙では踏み絵だった順位制が、とてつもなく意味のあるメッセージに変換されたのを見て、私は彼の本気さとしなやかさを感じた。

 

とかく、政治は権力と金と人が介在し、エゴが渦巻き、きれいごとでは済まないものだが、そのベクトルを見事に曲げた山本氏に、今後の活躍を期待するとともに、これからも応援していきたいと思った。

| - | 10:53 | comments(0) | - | - |
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
<< October 2019 >>
+ SELECTED ENTRIES
+ RECENT COMMENTS
+ ARCHIVES
+ MOBILE
qrcode
+ PROFILE
+ OTHERS
このページの先頭へ